会社が住宅費を負担する?日本の住宅補助・家賃補助制度とは


母国外で就業を考える外国人にとって、その国の住宅事情を知らず、土地勘のない中で住む場所を見つけることは様々な困難を伴います。日本企業の中には社員の住居をサポートする制度を設けている会社もあり、外国人社員にとって大きな助けとなりえます。特に人材不足のIT系企業では、社員への福利厚生の一部として住宅補助・家賃を補助する制度に力を入れているところが多いようです。今回は経済的な面で住宅費の負担を軽減するこの制度が、実際にどのようなものか説明していきます。

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住宅・家賃補助制度とは、各会社で設ける制度

住宅・家賃補助制度は社員の住宅費負担を支援することを目的にそれぞれの会社で設けている制度で、国の法律で一律に決められたものではありません。会社によって条件も違えば、当然ながら制度がない会社もあります。

「平成27年度就労条件総合調査」(厚生労働省)によれば、住宅手当を何らかの形で支給している会社は全体の45.8%。しかしIT関連など情報通信業では56.0%と、やや高い割合で住宅手当を支給していることが分かります。

会社選びをする際に条件面を比較する場合、給与額だけではなく「住宅補助制度が充実しているか」という点も含めて判断するとよいでしょう。住宅補助制度を利用して日本で転職したい外国人ITエンジニアの方は、外国籍IT人材のための求人サイトGitTapに登録しておくと、企業からスカウトがくるかもしれません。まずはサインアップからお試しください。

具体的な住宅・家賃補助制度の例


日本の会社の住宅・家賃補助制度にはいくつかのパターンがあります。その中でも代表的な住宅補助制度の例をいくつか取り上げ、解説します。

1.家賃補助(住宅手当)

「家賃補助(住宅手当)」は、会社が社員の住宅費の一部を手当として支給するもので、住宅補助制度としては最も一般的なものです。例えば、ある社員が賃貸住宅に住んでいる場合はその家賃の何割かを補助したり、社員の住んでいる持ち家の住宅ローンを補助するといった形が取られます。その支給条件や支給金額は会社によって異なるので、労働契約を結ぶ際には条件をよく確認しましょう。

支給条件と支給金額

例えば、家賃補助の支給条件として「会社から◯km圏内に住む社員には毎月◯円を支給する」「会社に○分以内に通勤できる場所に住むこと」「会社の最寄り駅から◯駅圏内」といったように、会社から補助の条件が提示されるケースも多くあります。また「入社○年以上」といった一定以上の勤続年数を支給条件とする会社もあります。

さらに、賃貸物件の契約者・世帯主であることが条件となる場合もあります。例えば恋人と同棲したり、友人とルームシェアを行う場合など、本人が契約者や世帯主でない場合には、支給対象となるかを事前に確認した方がよいでしょう。

支給額は会社によって異なります。例えば「家賃の5割」というように負担の割合を定め、またその上限額が決められているケースが多いようです。

近年の傾向:支給額は全体で減少しているが、IT系では平均支給額を上回っている

「平成27年度就労条件総合調査」(厚生労働省)によると、一人あたりの住宅手当の平均支給額は1ヶ月当たり17,000円です。全体では企業の福利厚生にかかる費用の中で住宅関連の手当の金額は減少傾向にありますが(日本経済団体連合会 2018年度福利厚生費調査結果)、IT関連など情報通信業においては、1ヶ月当たり25,312円と平均を大きく上回っています。これは近年のIT業界の人材不足の傾向が反映されており、「優秀な人材を取り入れるために家賃補助の手当を厚くする会社が増えている」という状況が伺えます。

2.借り上げ社宅

借り上げ社宅とは、会社が賃貸物件を借り入れ、その住宅に社員が住む制度です。社員もその家賃を一部負担しますが、会社が一定の割合で補助するため、社員は自ら賃貸するよりも安く住居に住むことができます。また会社が賃貸契約を行うので、社員は自ら契約を行う必要がありません。これは外国人社員にとっては、部屋探しのための手間を省くことができ、大きなメリットにもなります。

従来は、会社がアパートやマンションなどの賃貸物件を一棟丸ごと借り、各戸を社員に貸し出す大規模な借り上げが多く行われていましたが、最近は社員自身が条件の範囲内に当てはまる物件を探し、会社名義で借りるケースも増えています。

3.社員寮

社員寮とは、社員の居住用として会社が用意している施設・建物のことです。家具・家電が部屋に備え付けられている場合や食事が用意される場合もあります。多くの場合、食費なども込みのリーズナブルな金額の家賃で、生活費も節約できます。

しかし社員同士のプライバシーが保つことが難しいといったこともあり、近年は社員寮が敬遠される傾向にあります。また、社員寮の建物は高度経済成長期に建てられたものが多く老朽化が進んでいることもあり、最近では社員寮を持つ会社は減少傾向にあります。

提供される住居の広さや間取りについて

多くの場合、借り上げ社宅や社員寮の広さ・間取りは、入居する社員が独身者か、家族がいる既婚者か、その世帯人数に合わせて、会社から提供されます。

例えば、独身社員のために提供される借り上げ社宅・社員寮は、ワンルームや1K・1DKの間取りで、6畳~8畳(10㎡~14㎡)程度の居室の広さの物件が主です。一方で、既婚社員と家族3~4人が入居するための借り上げ社宅・社員寮では、2DK~3LDK(19.4㎡~23.4㎡)程度の間取りが一般的になります。

なお、上述した1~3の手当を税金の観点から比較すると、1の家賃補助の場合は、毎月の給料に加えて支給され、総所得金額が増える分課税対象となり、社員の税負担や保険料負担も増えてしまうので注意が必要です。一方で、2の借り上げ社宅や3の社員寮の場合は、給料から一定額の家賃が天引きされ、会社に支払われる形となるため、社員自身の税負担や保険料負担が増えることはありません。

まとめ

特に新しい場所で働き始めた時は、仕事が軌道に乗って暮らしが安定するまでは、出費をできるだけ抑えたいものです。家賃補助(住宅手当)や借り上げ社宅・社員寮などの補助制度を使えば、家賃負担を軽減し、日本で暮らすためのコストをうまく抑えられるかもしれません。

日本での就職をリサーチする際には住宅補助制度の有無もぜひ確認しましょう。また会社によって基準は異なっているので、それらの支給条件の詳細については人事担当者に確認しましょう。

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