2024/6/10
日本に来た後で転職しても大丈夫?外国籍ITエンジニアのための確認事項と手続き
日本ですでに仕事を始めている外国人ITエンジニアが、日本国内で新たに仕事を見つけて転職することはもちろん可能です。ただし外国人の場合には制約があり、また転職時に行うべき手続きや確認事項があります。日本人のように自由にどのような職種でも転職できるというわけではないのです。
ITエンジニアの場合は「技術・人文知識・国際業務」のカテゴリーで審査され在留資格を発給されます。転職する際に気をつけなければいけないのは、転職後の業務内容で現在の在留資格で認められた活動範囲を越えてしまっていないかという点です。
自分は越えていないので大丈夫、と思っても審査を行う入国管理局は違う判断を下すこともあります。そこで、転職が失敗してしまう可能性もあるので、慎重に事を運ぶ必要があります。今回はそれらの注意点について説明します。
Contents
1.転職先の業務内容は取得ビザの範囲内?
転職する際にまず注意しなければいけないのは、転職先での職務内容は現在と同じかどうかということです。転職前に取得した「技術・人文知識・国際業務」ビザの在留資格は、前提として以前勤務していた企業での業務内容で審査され、許可されたものです。
転職前の業務内容と明らかに異なる業務の場合は、必ず「在留資格変更許可申請」が必要になります。
例えば「教育」の在留資格で私立学校のIT系の学科で講師として勤務していた外国人が、ITエンジニアに転職するといった場合は、転職前に在留資格を「技術・人文知識・国際業務」の区分に変更しなければいけません。
また、例えば同じIT系の仕事をする場合でも現在「技術・人文知識・国際業務」の区分で仕事をしている外国人IT系エンジニアが、別のIT系企業で「代表取締役」として転職するといった場合には「経営・管理」の区分に該当するため、この場合も事前に在留資格を変更する必要があります。
さらに、もし転職前も後も業務内容が在留資格「技術・人文知識・国際業務」の区分内に入っていても、問題がないとは限りません。
例えばIT系の企業で「通訳」として働いた後に、別のIT系企業で「ITエンジニア」の仕事を行うといった転職の仕方をした際には、同じ資格区分でも業務内容が変わったと見做されるので、次の在留資格更新の際には改めて入国管理局で在留資格の審査が行われ、これまでとは違った判断が下される可能性もあります。転職者のこれまでの職歴や学歴などの情報を元に就労の可否が判断が下されます。
転職後も業務内容が同様であっても、同じ資格区分の範囲内に入るか確信が持てない場合、「就労資格証明書」を地方入国管理官署に申請することで、あらかじめ転職先の業務内容が現在の在留資格で対応できるか行政に審査を申し込み、確認する方法もあります。自分と企業だけで納得していても、在留資格更新の際に不許可となる万一の事態も考慮し、前もって確認しておくと、そういった在留期間更新時の懸念が少なくなります。
就業ビザ・在留資格を取得した際の企業をやめる時
在留資格を持って日本で働いている外国人が会社を退職したり転職した場合は、14日以内に入国管理局へ「所属機関の変更の届け出」をします。この届け出は会社ではなく、本人が行わなければいけません。申請フォーマットは、入国管理局HPからダウンロードすることができます。届出先は「窓口」「郵送」「インターネット」の中から選べます。
*申請を怠った場合、本人や雇用主に罰則が科せられることもあります。具体的には、20万円以下の罰金が課されたり、次回の在留資格更新の際に在留期間が短縮されるといった可能性があります。必ず届け出を行うようにしましょう。
退職しても、3か月の間は在留資格を取り消されることはない
退職時に注意しなければいけないのは、退職した後に一定期間就業しない場合には在留資格が取り消しになる可能性もあることです。
在留資格を取得して日本に滞在しているので、仕事がない場合は在留資格本来の目的を果たしていないと判断されます。その状態が継続して3か月以上続いた場合、在留資格取り消しの対象になります。
逆に3ヶ月の時間があるので、退職後にすぐ転職しないでゆっくりと仕事を探したいと思う方も多いかもしれません。仕事がなくなっても直ちに在留資格を喪失するわけではありませんが、退職した後から本格的に転職活動をしたい場合には、3ヶ月の期限を意識しつつ、時間的な余裕を持って行った方がいいでしょう。
2.就労資格証明書を申請して就業可能か確認する場合
同じ職種での転職をスムーズに進めたい方は、転職先が決まった後、就労資格証明書の申請をしましょう(在留期限が近い場合は、在留資格更新の際にどのみち資格の審査が行われるので必要ありません。)
就労資格証明書は、現在保持している在留資格のままで転職先の仕事にも従事できることを証明するための書類です。転職時に新しい就職先へ掲示することで、雇用する側の企業は転職者を既存の在留資格で雇用できるという判断が下せます。
就労資格証明書の申請に必要な書類
- 就労資格証明書交付申請書
- 在留カード
- パスポート
- 以前勤めていた会社の源泉徴収票・退職証明書
- 転職後の雇用(予定)先の会社等の概要を明らかにする資料(登記簿謄本・直近の決算書・会社案内など)
- 転職後の活動の内容、期間、地位及び報酬の記載ある文書(雇用契約書・辞令・給与辞令など)
上記の必要書類を持っていることで、外国人の転職はスムーズになります。
就労資格証明交付申請書は下記サイトよりダウンロードできます。源泉徴収票・退職証明書はこれまで勤めていた会社に発行を依頼し、登記簿謄本・決算書・会社案内・雇用契約書・辞令・給与辞令・採用通知書・理由書などは転職先の会社で発行してもらう形になります。
参考リンク:就労資格証明書交付申請(出入国在留管理庁)
まとめ
異国で働く外国人にとって、退職したことが後の在留資格にどのように影響があるかどうかは大きな関心事です。
転職後の在留資格の更新は、新しい転職先企業及びそこでの仕事内容の情報を元に、基本的に初めから審査される形になります。在留資格や在留期間に関する確認だけでなく、職種の変更がある場合は通常の更新申請より手間も多くなります。その際にあらかじめ「就労資格証明書」を用意していれば、在留資格更新の際に添付することで「審査済み」であると見做され、更新がスムーズに行われる可能性は高くなります。
退職後の転職活動やその後の生活の予定を立てるためにも、早めの行動が大切です。在留資格についての基本を押さえ、しっかりと準備を進めてください。
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