【インド人IT技術者に聞く】日本での転職成功のコツ

日本で働く外国人ITエンジニアの皆さんには、日本でのキャリアをどうやって積み重ねていこうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

今回は、実際に日本で転職を重ねて良いキャリアを築いてきた方々に直接インタビューをしてきました。率直な生の声をお届けしますので、ぜひキャリア構築の参考にしてみてください。


プラニク・ヨゲンドラ(よぎさん)さん(43)の場合

インド人のIT技術者、プラニク・ヨゲンドラさんは1997年に学生として初来日した。日本の銀行や日本に進出中のインドの大手IT企業などで20年以上働き、転職しながら収入を上げ、地位も築きあげてきた。

よぎさんは日本で4回転職している。インドの大手IT企業→インドの大手IT企業→日本の大手金融機関→インドの大手IT企→日本の金融機関という具合だ。

「私は3~4年ごとに転職してきたんです。というのはインドのビジネススクールで教授から4年目に転職するよう勧められましたからでした。教授によると、1年目は会社のことを知り、ボスの指示はどんなことでも従います。2年目は自分の判断で動けるようになります。自分でリスクも取れます。3年目はもっと自在に動けます。でも4年、5年となると、だんだん、会社の人たちに気兼ねして、迷惑をかけてはいけないと考えるようになって、次第にリスクを取る行動ができなくなるのです。ですから、3年以上同じ会社に勤めるのではなく、4年目には転職しなさい、でないと、君は錆びついてしまうから、と。」

しかし、日本の大手金融機関に入ってみると、長く同じ会社でつとめるのも選択肢に入れてもいいと思うようになった。IT企業と違って様々な部署があるため、3年ずつくらいに配置転換となれば、これも「転職」と同じではないか、と。

業務と給料についての考え方

よぎさんの年収は最初の約1000万円から次第に上がっていき2000万円近くまでなった。日本企業の場合、終身雇用が基本で、福利厚生がセットになっているので手取りはインドのIT大手企業よりも少し低いが、総合的に見れば同等の水準だ。

よぎさんが最初から高収入だった理由は、インドのトップレベルの大学で経済学修士やITのディプロマを取得していたこと、日本の外務省の予算で留学した経験があり、日本語が堪能だったことがある。それでも努力なしに年収は2倍になりはしない。

よぎさんによると転職で重要なポイントは次の3点だ。①給料、②会社が自分の知識と技能を活用・拡大できる仕事を与えてくれるか、③一緒に働く人はどんな人なのか。

面接と経歴書のわざ

では、ここで実際の転職の際に必要になるテクニックについて。

よぎさんによると、面接では常に自分自身の物語を明確かつ論理的に話せることが大切だ。趣味に関する質問でも論理的に自分を説明できるか、というところが見られる。また、よぎさんは質問に答えるだけでなく、自分からも積極的に質問することを心掛けている。

よぎさんはCV(経歴書)は常に3通り用意していく。長いバージョンはA4でデテールが詰まった10ページ、中間バージョンは5~6ページ、短いバージョンはこれまで働いてきた社名と肩書きなどを並べただけでデテールのほとんどない2ページ。3種類も用意するのは、企業の中で様々な人が様々な視点から就職希望者を審査するため、いろんな視点に応えられるように、という工夫だ。

「CVでは自分の強みがどこにあるかを考えます。そして、この転職で携わるプロジェクトに自分の能力がいったいどの部分で発揮できるのだろうか」と。よぎさんは面接のない時でも毎月、自分のCVを更新している。

アナント・パイさん(仮名 47)の場合

インド人のIT技術者のアナント・パイ(仮名)さんが来日したのは2005年だ。パイさんの場合、日本での転職経験は2回。最初は小規模のインドのIT企業に就職し、次は日本のもっと大きなIT企業、そして今はアメリカのIT企業だ。

これら3社はプラニクさんの場合と違って、すべてIT企業で、顧客は医療、金融、保険、ITなどの各種業界。パイさんも転職のたびにサラリーはアップし、地位も上がった。最初は月収33万円、次は月収42万円、現在は月収60万円と15年の間におよそ2倍になった。

「私には日本で大きな企業にアクセスするのが難しいので、リクルートのためのエージェンシーを利用しています」

パイさんはリクルートのエージェンシー4~5社に登録している。CV(経歴書)を送っておくと、それらの会社が転職者を募集する企業とマッチングしてくれるそうだ。パイさんが転職で重視するのは3点。①サラリー ②自分の役割や責任ある立場につけるか、③会社の安定性。

「スタートアップ企業は小さい会社が多く、たとえサラリーが多くても会社自身が倒産するリスクもあります。大きな会社の場合は安定性があります。ですから、私は転職のたびに前の会社よりも大きな会社を選んできました」

面接の秘訣

では面接の際にどんなことを注意しているのだろうか?

「面接の前に必ずその企業について研究しておきます。どんなサービスをしているのか。どんな業務をさせようとしているのか。もし面接で尋ねられた経験や技術がなかったのなら、嘘を言わずに正直に「ありません」と答えることが大切です。嘘はダメですが、『この仕事はできます』という風に、自信を見せるのはよいのです」

正直に答えることが大切なのは、面接担当者が技能だけでなく、コミュニケーション能力や誠実さも見ているからだ。

先輩たちの失敗談

 パイさんに「来日したインド人のITエンジニアで転職が失敗した話を聞いたりしたことはありませんか?」と聞いてみた。

「私は失敗したケースは少ないんじゃないかと思います。多くの場合はうまく転職できると思いますよ。日本ではITの仕事はたくさんあります。技術があれば道は開けると思います。ただ、もし失敗があるとしたら、会社から与えられた業務と、エンジニアの持っている技能がマッチしなかった場合でしょう。そんな場合はもう一度仕事を変える必要がありますね」

パイさんによれば日本は生活スタイルもよいし、安全でインド人IT技術者にとっては素晴らしい国だ。パイさんは技能を常に高め、日本語を学び続ければ転職によってきっとキャリアは上がっていくはずだと言う。

まとめ

いかがでしたか?

日本の企業には独特の価値観や転職のコツもありますが、一方で、自分のスキルを高めて上手にアピールしていくこと、継続的に情報収集を行いたくさんの企業と出会っていくこと、などは、どの国でも共通するポイントと言えるでしょう。

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