2024/6/10
外国人にも加入義務!日本の年金制度について
本日は日本の社会保障制度について説明させていただきます。年金制度についてご存じでしょうか?日本の年金制度には、国籍は関係ありません。外国人であっても「日本国内に住所を有している」場合には、年金に加入する権利・義務が発生します。特に国民年金は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人であれば、国籍に係わらず必ず加入しなければなりません。
日本で長く働く予定の外国人にとっては将来的に年金がもらえる可能性に繋がりますが、とりあえず短期間日本で働いてみたいと思っている外国人には、払い損になってしまう可能性もあります。そのため年金制度への加入は法律で決められていますが、外国人にとって不利益なケースを避けるための制度もあります。
今回は日本の年金制度について日本で働く外国人が気をつけるべき点について解説します。
Contents
1.外国人も加入義務がある日本の年金
日本の公的年金は「国民年金」「厚生年金」「共済年金」の3種類の年金があります。
このうち国民年金は外国人も含めて日本国内に居住する、20歳以上60歳未満の全ての人が加入する義務があります(ビザを取らず一時的に日本に滞在している人は対象外)。厚生年金は適用を受ける企業に勤務する全ての人が加入し、共済年金は公務員・私立学校教職員といった職場に勤務する人が加入する制度です。
就労の形態により、企業に従業員として勤める場合は国民年金と厚生年金、業務委託や請負契約で働く場合は国民年金、共済年金に加入する職場で働く場合は国民年金と共済年金にそれぞれ加入する必要があります。
企業に雇用されて従業員として日本で働く外国人ITエンジニアの場合は、国民年金と厚生年金に加入する義務がありますが、それらの必要な手続きは企業が行います。個人事業主として働く外国人ITエンジニアの場合は、国民年金に加入義務があり、その手続きは自分で行う必要があります。
Reference Link: 公的年金の種類と加入する制度|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
会社に勤務していなければ、国民年金は自分で加入手続きを行う
企業で働いていれば、厚生年金と国民年金の加入手続きをまとめて企業が行います。しかし業務委託契約などにより個人事業主として働く場合には、自分で加入の手続きをしなければなりません。その場合、住民票のある市区町村役場の年金窓口で手続きします。外国人の年金加入手続きは、入国から14日以内に各市区町村の年金担当窓口で行います。必要書類は下記になります。
- 国民年金被保険者関係届書(申出書)
- 本人確認ができる身分証明書
- 日本に入国した日がわかるパスポート
会社に勤務していれば、厚生年金への加入も義務
株式会社、合同会社、有限会社など、どのような形態の会社であれ、雇用主が法人の場合、国民年金に加えて従業員を厚生年金へ加入させる義務が生じます。この場合、従業員が手続きを自分で行うことはできません。勤め先を通じて手続きが行われます。また、給料から保険料が天引きされるため、未加入や未払いのケースは少ないようです。
保険料を支払っていない場合の罰則
公的年金の保険料を支払わない際の罰則など対応は、日本人も外国人も同様です。支払いが数ヶ月滞った場合には督促状・催告状が届き、また電話や個別訪問により支払いを催促されることもあります。それでも支払いを行わない場合には、財産の差し押さえによって強制徴収がなされることもあります。
また外国人の場合は、在留資格の更新の際の審査への影響についても考慮しなければいけません。
2008年3月に発表された「在留資格の変更・在留期間の更新許可のガイドライン(2020年2月改正・法務省・入国管理局)」によると、社会保険への加入の促進を目的として申請時に窓口において保険証の提示が求められます。このガイドラインには、「在留資格の変更・更新の際に健康保険証を提示できない事だけで申請を不許可にすることはない」と注記されていますが、「雇用・労働条件が適正であること」は審査基準として挙げられていますので、年金も含め適切な社会保険への加入が審査基準の一つになっていることは想像に難くありません。社会保険への加入・支払いをしていない企業・労働者に対しては、それが理由による不許可はないとしても、在留資格更新のための審査が厳しくなることが考えられます。
2.日本で年金に加入する上で注意すべき点
年金制度への加入は義務になっていますが、日本の公的年金では、老齢基礎年金の受給資格を得られる期間は最短でも10年間になります。その期間の途中で母国に帰ってしまい年金加入期間が10年に満たなくとも、納付した保険料が掛け捨てにはならないようにする制度があります。
まず日本を出国する際に所定の手続きをすれば脱退一時金という形で納付額の一部が戻ってきます。また、母国が日本と社会保障協定を結んでいる場合、出身国と日本の2つの国の保険料を支払う「二重負担」がなくなります。さらに日本で年金制度に日本での年金加入期間と出身国での年金加入期間を通算して、日本もしくは母国で年金を受給できる可能性もあります。
社会保障協定による「保険料の二重負担防止」「年金加入期間の通算」
日本と社会保障協定を結んでいる国から来日している外国人の場合、日本または自国のどちらか一方で社会保障制度に加入していればいいため、両方の年金制度で保険料を二重に払う必要はありません。
2019年7月時点で、日本と社会保障協定を結んでいる国は次の通り。
(協定が発効済の国)ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア
(署名済未発効の国)イタリア、中国、スウェーデン
Reference Link: 社会保障協定|日本年金機構
日本は2019年7月時点において、日本は22ヶ国と協定を署名済で、うち19ヶ国は発効しています。この19ヶ国のみ「保険料の二重負担防止」「年金加入期間の通算」が有効になります。
「年金加入期間の通算」とは、日本での年金加入期間と出身国での年金加入期間を通算して、日本もしくは出身国で年金を受給できるようにする規定です。たとえば、日本での年金加入期間が10年に満たなくても、出身国での年金加入期間が通算して10年以上になれば、日本の老齢年金をもらえるということです。
また企業から派遣され転勤で日本に来るケースでは、赴任期間によっては日本の社会保障制度への加入が免除されます。当初から赴任期間が「5年以内」と見込まれる場合は自国の社会保障加入を継続し、日本の年金制度には加入しません。赴任期間が当初から「5年以上」と最初から見込まれる場合は、日本の年金制度に加入します。
脱退一時金制度とは?
社会保障協定国の出身ではない外国人の方は、保険料掛け捨てによる不利益を避けるために脱退一時金の申請も検討できます。
日本の厚生年金・国民年金に加入した外国人が受給年齢に達する前に帰国する場合、一定の金額を脱退一時金として受け取ることもできます。ただし脱退一時金を受け取ると、日本で年金に加入していた期間はなかったことになります。また脱退一時金をもらえても、その金額は在留中に負担した保険料より少なくなります。
脱退一時金の請求は期限があり、厚生年金・国民年金の被保険者資格を喪失し、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に行う必要があります。以下のすべての条件を満たした場合、請求できます。
・日本国籍を持っていないこと・国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間の月数と保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数、及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数とを合算した月数、又は厚生年金保険の被保険者期間の月数が6ヶ月以上あること・日本に住所がないこと・障害年金などの年金を受ける権利を持っていないこと
例えば厚生年金の場合、加入期間が6ヶ月以上あり、障害年金などを受ける権利のない外国人が帰国した場合には脱退一時金を請求できます。
まとめ
日本の年金制度では、外国人も日本に住んでいれば年金の支払い義務があり、保険料や年金受給の条件も日本人と同じです。年金の保険料を支払っていないと、督促や差し押さえを受けるだけではなく在留資格の更新を審査される際に影響がある可能性があります。
出身国の年金制度との二重払いや保険料の掛け捨てを防ぐための制度も用意されています。日本で働く外国人の方は、社会保障協定や脱退一時金の仕組みを十分に理解して保険料を適切に支払い、将来の年金受給などで損をしないようにしましょう。
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