2024/6/10
就労許可を持った外国人ITエンジニアが副業する際に注意すること!
就労許可を持って日本で仕事をしている外国人ITエンジニアが、もしメインの業務以外で副業を持ちたいという場合、どういったことに注意しなければいけないのでしょうか?
まず法律面を考えると、一般的にはITエンジニアは「技術・人文知識・国際業務」のカテゴリーで在留資格を得ているので、そのルールに基づいて副業の可否を判断をする必要があります。
また勤務している会社の理解を得る必要性もあります。平成30年1月、厚生労働省により副業・兼業の促進に関するガイドラインが示されたものの、日本の多くの企業の就業規則には副業禁止規定が存在します。就業時間外の活動について、一方的に勤務先の企業が就業規則で禁止することは原則できませんが、副業の内容によっては利益相反に該当したり、重い処分につながってしまうケースもあるので注意が必要です。
今回はそれらの注意点について説明します。
Contents
1.在留資格で認められた範囲での副業は可能
「技術・人文知識・国際業務」は、日本で外国人が自然科学や人文科学の知識を生かして仕事に就く場合に申請する在留資格の区分です。以前は「技術」と「人文知識・国際業務」に分かれていましたが、2015年の入管法改正で区分分けが廃止されました。
ほとんどの外国人ITエンジニアは「技術・人文知識・国際業務」の区分で在留資格を得る必要がありますが、この区分で行える仕事は法律で決められています。SE、プログラマーといった技術系の専門職はもちろん、営業・総務・広報・経理といった事務的な専門職、そして通訳翻訳業務などが該当します。これらの業務の範囲内であれば、副業を行うことの法的な問題はありません。
ちなみに「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」といった区分で在留資格を取得している場合には就労制限はありません。
■資格外の副業をする場合には申請が必要
「技術・人文知識・国際業務」の区分に当てはまらない仕事を副業で行う場合は「資格外活動許可」が必要になります。副業を始める前に、あらかじめ出入国在留管理庁に資格外活動許可申請を行いましょう。申請は無料で行えますが、申請してから審査期間として2週間から2か月ほどかかります。許可が下りた後、保持している在留資格の期限が切れるまで、副業を行うことができます。
外国人が資格外活動許可なしに資格外の活動で収入を得ることは日本では厳しく取り締まられており、例えそれが故意でなくとも不法就労として罰則を受ける場合があります。「不法就労」 「資格外活動罪」 などの罪に問われ、強制退去に至る場合もあります。また本業よりも副業の労働時間が長くなることも認められないので注意しましょう。
■ITエンジニアの副業/認められる例・認められない例
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の区分で行える業務内容の副業であるか、あるいは資格外活動許可を得た上での副業であることが前提ですが、以下のような場合は副業として認められないので気を付けてください。
専門性を求められない単純労働である場合
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得する人は、技術や知識などの専門性が必要とされる業務を行わなければなりません。工場のライン作業、建築業、飲食店での接客、小売店でのレジ打ちといった単純労働では働くことはできません。資格外活動許可を申請しても、これらの仕事の場合、不許可になります。
無償のボランティア活動であった場合
収入が発生しない無償のボランティア活動として行われる労働については、制約はありません。また資格外活動許可も原則不要です。
本来の在留資格の活動(本業)を3ヶ月以上行っていない場合
在留資格を取得した際に届け出た勤務先を辞めた場合など、在留資格の範囲内の業務を3ヶ月以上行っていない場合には、例え資格外活動許可で認められた副業であっても日本国内での就労を継続することができません。
2.勤務先企業が副業を制限する場合の注意点
会社の指揮命令下から解放されているので、本来は就業時間以外の時間をどう使っても自由ですが、多くの日本企業では副業が禁止されています。リクルートキャリアによる兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)によると、約7割の企業が副業を禁止していて、そのうち85.4%の企業の就業規則には副業禁止規定が存在しています。
■副業が禁止される例
副業そのものについて規定した法律はありませんが、副業も含めて法律では職業選択の自由が認められているので、無条件で一方的に企業が副業禁止を定めても拘束力は本来ありません。
しかし、会社の業務に支障を及ぼすなど、副業が発覚してトラブルになることもありますので、事前に企業側の理解を得るなど配慮が必要です。また、以下のような合理的な理由から、企業が従業員の副業を禁止するケースもあります。
同業他社での副業
本業と近い領域の副業をすると、競合企業と関わる仕事をしてしまうケースも考えられます。その場合、自社の情報を漏らす可能性を疑われるのは避けられません。万一情報漏洩が起きた際には重い処分に繋がることもあります。
本業の業務を副業として下請けする
IT業界では元請け企業が下請け企業と共同でプロジェクトを進めている場合が多いですが、ITエンジニアとして本業の下請け先から業務を受注することは利益相反と見做されます。発覚した場合は大きな問題となり、減給や懲戒免職など重い処分を受けることもあります。
副業をやりすぎて本業がおろそかになってしまった場合
副業にのめり込んだ結果、拘束時間が長くなって時間の融通が利かなくなり、残業や出張を断ったりした場合、業務命令違反や出張命令違反などの理由で処分を受ける場合もあります。
まとめ
厚生労働省のモデル就業規則において「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という一文が削除されたため、最近は「国が副業を推進している」とまで言われるようになりました。少しずつ日本でも副業が行いやすくなっていることは確かですが、外国人にとっては日本独自の副業に関するルールについて不自由さが感じられるかもしれません。在留資格に関わる法的な問題と会社の就業規則の問題など他国にはない副業に纏わるルールについては、あらかじめ知っておく必要があります。
企業によっては、従業員と副業内容について積極的に情報共有を行い、利益相反や情報漏洩を起こさないようにお互いに確認を行う企業もあります。本業の上司や会社とうまくコミュニケーションを取りながら、本業と副業をバランス良く行うことが理想的でしょう。
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